お仏壇のまつり方



本尊のまつり方
 浄土宗の本尊は阿弥陀如来で、家庭の仏壇にも阿弥陀如来を本尊としておまつりします。阿弥陀如来をまつることは、念仏信仰の心にふれる第一歩でもあるのです。
 おまつりする阿弥陀如来は、絵像でも彫像でもよいし、形も立像、座像など、どれでも構いません。
 阿弥陀如来は仏壇の中央奥、須弥壇にまつり、その左右の脇壇に、観音、勢至両菩薩、あるいは善導大師と宗祖法然上人の二祖をまつる。これらは阿弥陀如来と同様に、絵像・彫像のどちらでも構いません。
 位牌をまつるのは、脇壇のすぐ下の段になります。位牌が一つの場合は、向かって右側にまつります。二つの時は、仏壇では同じ高さの場合、向かって右が上座になるので、右に古いものを、左に新しいものを置くのが原則となっています。
 位牌が三つ以上になった場合は、戒名がかかれた礼版を重ねておさめた、繰り出し位牌をまつっておくとよいでしょう。日常的には「先祖代々」と書かれた札にしておいて、命日など特別なときには、それぞれの札を出すようにします。
 仏壇は仏さまとその弟子たちをまつる場であります。本尊の阿弥陀如来を中心にその左右に観音・勢至両菩薩、あるい善導大師および法然上人をまつり、その下段に位牌をまつるのは、先祖、故人が仏さまの弟子となったということなのです。
仏壇を新しくしたら...
仏壇は位牌や本尊の単なる置き場所ではありません。仏壇は家族の心のよりどころであり、家庭の中にあるお寺といってもいいでしょう。
 それだけに、新しく仏壇を購入したときは、菩提寺にお願いして本尊の開眼法要をしてもらわなければなりません。開眼法要は、御霊(魂)入れともお生根入れとも言われるように、本尊に命を吹き込み、本来の働きができるようにすることです。この開眼法要によって、仏壇は初めて聖なるものになるのです。
 開眼法要は、本尊、仏像や仏画、お守り、お札、石塔、位牌などを新しくしたときや修理したときなども、本来行わなければならないものです。
 開眼法要は、あまり重視されないこともあるようですが、一周忌や三回忌などの法要と同じように大切な儀式であります。できる限り家族全員が揃って行うことが望ましいでしょう。
 また、仏壇を買い替えたり、修理に出すときは、本尊の御霊抜きをし、新しい仏壇に安置する時に開眼法要を行います。
 古くなって処分しなければならない仏壇の処理には困りますが、新しい仏壇を買った店に相談してお焚き上げを頼むとよろしいでしょう。
仏具とお供え
 仏壇には三段のものと四段のものとがありますが、一般の家庭では三段のもので十分でしょう。
 上段に本尊の阿弥陀如来と観音・勢至両菩薩か、善導大師および法然上人の二祖像をまつり、そのすぐ下の脇壇に位牌をまつります。
 仏さまにお茶や水を供える茶湯器は、一つの場合は仏壇中段の中央に置き、その向かって右に仏飯器を置き、茶湯器が二つの場合は、仏飯器を中央に置き、その左右に茶湯器を置きます。
 高坏はお菓子や果物をもって供えるためのもので、中段の左右に一対にしておくのが基本です。
 中段や下段にまつる仏具の基本となるのは、燭台、香炉、華瓶で、それぞれが一つずつの場合は、三具足、燭台と華瓶が一対ずつになると五具足と呼ばれます。また、浄土宗では五具足に前香炉と線香立てを加えて七具足とも言います。
 三具足あるいは五具足は、仏壇が四段であれば、茶湯器や仏飯器、高坏を置いた段の下の段に置き、同じ段に過去帳を台に乗せて置き、前香炉や線香立てを最下段に置きます。三段の仏壇では、三具足あるいは五具足、過去帳、前香炉、線香立てなどはすべて下段に置きます。
 なお、前香炉を使うときは、三具足の香炉は抹香を焚くための火舎香炉とし、線香は前香炉にたてるようにします。
 霊供膳はお彼岸やお盆などの仏事で用いられます。ご飯をはじめ、汁もの、煮物、あえもの、香のものが器に盛られる。四段式の仏壇であれば最下段に供えてもいいですが、三段の仏壇では、そのスペースがないので、仏壇の前に小机を置いて、白布で覆ったうえで霊供膳を供えるようにします。
 この他、仏具として欠かせないのが、鈴、木魚、伏鐘です。
 鈴は、お寺で使われる大きんを家庭で使うのに適したように小型化したもので、仏壇の前の経机あるいは引き出し式の台の上の右側に置きます。
 鈴と同様、念仏をとなえるときに拍子をとるために使うのが木魚や伏鐘で、これらも仏壇の手前、右に置いて使います。
 また、壇信徒がおつとめに使うものとして、小五条(威儀細)、和袈裟(種子袈裟)があります。
 袈裟はお釈迦様が着用した出家専用の衣服カシャーヤを起源とする神聖なもので、僧侶が儀式の際に着用します。それを在家信徒用に簡単に着用できるようにしたものが小五条や輪袈裟であり、毎日のおつとめのために用意しておくとよいでしょう。

札位牌 繰り出し位牌 白木の位牌
札位牌 繰り出し位牌 白木の位牌
故人一人につき一つ。表に戒名を、裏に命日、俗名、享年を書く。 位牌の札板が複数枚入り、一番手前のものが見える。 四十九日忌までのもの。仏壇にまつる位牌は、左記の本位牌を用意する。

仏飯器 茶湯器 高坏
仏飯器 茶湯器 高坏
ご飯を供える器。必ず炊きたてを供えること。 お茶や湯、水などを入れる器。生きている人が食事後にお茶を飲むのと同じように、仏前にも必ずご飯と一緒にお茶を供える。 菓子や果物を供える器。半紙を敷いて乗せる。足の数が偶数の場合は、二本が正面を向くように、奇数なら一本を前に出すように置く。

霊供膳 過去帳
霊供膳 過去帳 鈴
霊膳とも言う。お盆や法要の時に仏前に供える小型の本膳。手前に箸、左に飯椀、右に汁椀、奥の左に平椀(あえもの)、右に壺(煮物)、中央に腰高坏(香のもの)の順に並べ、一汁三菜の精進料理を盛りつけたら仏前に箸が向くように供える。 霊簿ともいい、故人の戒名や俗名、命日、享年などを記したもの。 毎日のおつとめの時に叩く。澄んでいていつまでも鳴り響く音色が邪念をはらってくれると言われる。

経机 伏鐘 香炉
経机 伏鐘 香炉
仏壇の前に置き、経本、数珠、前香炉、鈴などを乗せる。 木魚や鈴と同様におつとめに使われる。 前香炉を置く場合は、線香を立てるための香炉とし、三具足などには抹香を焚く火舎香炉が置かれる。

木魚 三具足 五具足
木魚 三具足 五具足
読経や念仏のときに拍子をとるために叩く。 お寺の本堂や大きな仏壇では五具足や七具足が用いられるが、一般家庭では三具足で十分。


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